10年以上前、私が総合病院の看護助手をしていた時のことです。
患者さんが亡くなられた後の部屋は窓を開け放ち、丁寧に部屋全体をくまなく水拭・消毒し、ベッドはシーツからすべて交換します。
お亡くなりになった患者さんのご遺体の処置は看護師さんたちが行うのですが、看護助手はお亡くなりになった方の部屋の清掃・消毒を担当していたわけです。
ある日のことです。
お亡くなりになった方の病室をキレイにするための作業を、私ともう1人の同僚の看護助手さんとで進めていました。
しばらくすると突然同僚は、「ギャーッ!つかまれたー!」と叫んでその場にしゃがみこんでしまいました。
同僚が言うには、ベッドの下からあるはずのない見えない手のようなものが出てきて、自分の足首をつかんだそうです。俗にいう「霊」のしわざです。
しかし、私はしゃがみこんでいる同僚を横目に見ながら、何が起こったのか理解できませんでした。なぜなら、私には何も見えなかったからです。
私は窓を開け、拭き掃除を続けました。
病室の中を2人で掃除するという状況で、一人は足をつかまれ、私は何もなかったという状況です。
そのとき、私は理解しました。
人は、さまざまな視点をもって生きている。
と。
上記の看護助手としての経験から、私は、
「患者さんのどこをみるか?ということを治療者自身が知っていることが望ましい」
と考えております。
具体的に言えば、患者さんの苦しみや、ネガティブなところを見るのか?、それとも喜びや、ポジティブなところを見るのか?という点です。
私は積極的で喜びやポジティブな視点を大切にして、施術に臨みます。