親切は人間関係を豊かに、おだやかにする効果がある
カリフォルニア大学ロサンゼルス校の教授が「人に親切にする」行動を1日3回・1か月間おこなうと、体内の炎症をうながす遺伝子の働きがおさえられた、という実験結果を発表して大きな話題になったことがあります。
体内での炎症がさかんになると、体内の環境を破壊するようになります。
老化や病気になりやすくなるのです。
ですから炎症状態にならないことが健康を維持するためにとても大切になるわけです。
炎症状態をおさえるために、人に親切にすることが有効であるという実験データが発表されたわけです。
ほかにも、自分ひとりで定期的な運動をすることよりも、「人とのつながり」がゆたかなほうが寝たきりの危険度を下げるということが明らかになってきています。
これらの実験結果からわかることは、人間関係をゆたかにしていくことが健康的に生きる上でとても大切であるということですね。
うらがえせば、私たちが孤独になる・孤独と感じることは、健康的な生活を送る上ではマイナスの影響となる、ということです。
では、孤独は身体のどこで感じるのでしょうか?
関係性は肌(はだ)を通して感じとる。
「肌が合う」という言い方があります。
自分と波長の合う人との関係を言い表したコトバです。
肌が合うというコトバは、「皮膚を刺激することが対人関係のスキルを高める」ことを示しているのです。
孤独は肌(はだ)で感じるものです。
脳で感じる、と考えても間違いではないですが、もっと直接的な感覚があります。
それは、「肌(はだ)」で感じることです。
私たちは「皮膚」のことを「肌(はだ)」と言ってきました。
「人肌のぬくもり」「肌が合う」「ふれあい」「肌で感じる」などのさまざまな表現がありますが、これらの表現は、「自分と自分以外の他者との交流」を前提としていることばです。
孤独は、肌(はだ)で感じるのです。
ですから、孤独を必要以上に感じることなく人間関係をゆたかにしていくために、「はだ」の感受性を高めることが必要なのです。
「はだ」の感受性を高めていくために
「はだ」の感受性を高めるには、「はだ」を感じることが大切です。
それも、力任せにするのではなくて、そっと触るようなやわらかな刺激を感じていくことです。
自分で自分の身体に「触れてみる」ような感じでしょうか。
例えば、いつものバスタイムの時間に、湯船につかってやわらかなお湯の感触を感じてみたり、体を洗う時にタオルではなく自分自身の手でやわらかくふれてみる、とかそんな感じです。
それを毎日くりかえすことが必要なのです。
「はだ」の感受性を高めていくために、他者に触れてもらう
そして、自分ひとりでするよりも、こちらの方がはるかに簡単なのです。
なぜなら、自分の「はだ」に施術者という他者がかかわってくるからです。
「肌(はだ)という言葉は、自分と自分以外の他者との交流を前提とした」コトバであると書きました。
ですから、あえて自分以外の他者に触れてもらうことが有効なのですね。
しかし、そのような施術は誰でも簡単にできることではありません。
「肌(はだ)の感受性を豊かにする」ということのできるセラピストや施術者をえらんで試してみてください。パートナー・親子・仕事などの人間関係に関するストレスや悩みをかかえている場合は、特に肌(はだ)を刺激してもらうことが必要ではないかと思います。
肌(はだ)の感受性を高めることは、対人関係のスキルを高めること。
そんな刺激の方法があります。
それが、肩甲骨まわりをほぐすことです。
肩甲骨は腕の動きに合わせて動いています。
感情を表現するときにもっとも使われているのは、腕です。
嬉しいときの万歳・悲しいときの姿勢・考え事をしているときの腕組み・・。
その時の腕の動きは、最終的に肩甲骨の動きとして身体に認識されます。
したがって、肩甲骨のまわりには、感情がたくさんたまってきます。
肩甲骨まわりの緊張は、感情がたまりすぎているサインです。
感情がたまりすぎていると、新しい人間関係をきずくことができにくくなります。
感情がたまりすぎていると、人間関係に新鮮さを見出せなくなります。
感情がたまりすぎていると、怒りや憎しみを手放せなくなります。
そうならないために、肩甲骨まわりをほぐし、
たまった感情を解放していく必要があるのです。
感情を味わうことを通して人は生きていく
対人関係を味わうことは、感情を味わうことでもあります。
人と出会うことで生まれてくる気持ちを受け入れ、見つめ、そして解放していく…それが人生なのだと感じます。
そのためにも肩甲骨まわりは、やらわかくしておくことが大切なのです。